歌が上手くなりたい人、いい声になりたい人はたくさんいますよね。

ボイストレーニングを受けたり、

意識的に練習することもあるかと思います。

でも一つ気をつけて欲しいことがあります。

それは、

誰かの声になろうとしていないか。

私が発声で一番大事にしたいのは

『あなたの声』です。

あなただけが持っている、あなたらしい声です。

私は10歳の頃から部活で歌を習い始め、今でもずっと歌い続けています。

私は歌うことが大好きですが、

そんな私も一時期は、なんで思い通りの声が出ないんだろうと、

傷つき、悩み、涙した日々もありました。

小・中学生の頃は、はっきりとした比較的地声に近い声で歌っていましたが、

高校生になってから、発声の指導や、作品の雰囲気もガラリと変わって、

声を出すのに戸惑がありました。

合唱団のようなふわりとした澄んだ歌声と、

民謡の歌い方、

またポップスも、「上手く」歌うにしても発声は全然違いますよね。

もちろん腹式呼吸や響きを意識するなど共通の点もありますが。

私は高校時代から

自分が思うような声が出ず、

どうしてこんなに歌が下手なんだろうと悩むようになりました。

そして大学。

大学では実績も実力も素晴らしい先生方に学んでいましたが、

歌に対しては同じような気持ちで、

随分コンプレックスを感じていました。

そんなある日友人に言われた一言が忘れられません。

ミョンミの声は色がない。

とってもショックで今でもその時の状況を忘れられません。

でもその言葉は

まさに私が私自身に思っていた言葉で、

悲しくも認めるしかありませんでした。

その日を機に、

私は頑張ることをやめました。

自信も失って、

歌を上達させることに執着することをやめて、

歌が下手な自分…のレッテルをまた貼ったまま、大学を卒業することになりました。

そんな私がまた歌に目覚めたのは、

大学を卒業してから8年目、

幼い頃から続けていた

カヤグムと歌を

人前で披露することになってからです。

今まではずっと誰かに指導を受けながら、

誰かの評価を気にしながら歌っていたのが、

一人で勝手に練習して、一番自分らしい声で、

何にもとらわれず自分だけが心地いいように、好きなように歌うようになってから、

歌うことってこんなに楽しかったっけ…と

なんだか小学生の頃の感覚を思い出すようになりました。

私の一番楽な歌を聞いて、

喜んでくださる方も沢山いらっしゃいました。

もちろんスキルは自分ではわかっていますが^^;

やっと心から楽しんで歌を歌えるようになりました。

高校時代に戻れるなら自分に言ってあげたい。

そのままで十分だよと。

あなたの声を探して。

評価される声や、何かに当てはめる必要はないんだよ…と。

専門的に学ぶ必要がない、

好きなようにただ歌えば良い

そのようなことを言っているわけではありません。

私自身素晴らしい先生たちに

指導を受けることはできましたし、

スポーツも芸術もコーチや先生の模倣から始って、

自分らしさに繋げていける方は沢山います。

専門的に学ぶほど、追求し、深めてはいけますが、

ただ私は長年見失っていたものがありました。

発声を頑張っては来たけど、

いつも誰かの真似をしたり、

誰かに似せて歌おうとして、

誰かの評価を気にしたりして、

自分の本当の声、

自分らしい歌い方、

自分の歌というものに真剣に向き合ってなかったのではないかと思います。

声は「自分の声」を出すだけで、

体と心が開放されていくと思います。

今私は自分の娘の歌の指導をしています。

一番大事にしたいのは

「あなたの声を聞かせて欲しい。」

この子の良さを伸ばしてあげて、

歌うこと、声を出すことで

この子自身が癒される、

そんな歌を歌って欲しいなと思います。

もし自分の歌でつまずいていたり、

スキルが足りないなって思っている方、

技術の習得、訓練だけに走らずに

あなたの心地よさ、

歌う喜び、

内側から溢れる感覚を

しっかりと感じてあげてください。

それを感じることが

次のステップへとつながっていくと思います。

声はほとんど全ての人が持って生まれたギフトです。

誰かの声にならなくてもいいのです。

あなただけの声を

大切に育て、そして解放してください。

 

◆2021年秋からvoice yoga開講します。

 

 

 

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ミョンミ

オ・ミョンミ  1981年山口県下関市生まれ、下関在住。 在日コリアン三世。二児の母。 幼少期から民族学校で母国の言葉や文化、歴史を学ぶ。 朝鮮大学校教育学部音楽科を卒業後7年間、地元母校の初級部にて教鞭をとる。その間民族楽器カヤグムと、コーラスの部活動のレッスンを担当しながら、沢山の子供たちの指導にあたる。 その後ブライダル司会者を志し、司会のスキルとホスピタリティを学びながら、同時期に、幼い頃から大好きだったカヤグム弾き語りの音楽活動を始める。 2011年より日韓バイリンガルのブライダルMCとして活動を始め、日本人カップルや、コリアンブライダル、国際結婚など600組以上のカップルのブライダルパーティー施行。 2019年、父と義父の病気と死によって、体と心についての学びを深める中、ヨガやボイスヒーリングの素晴らしさを体感する。 「声と共に、体と心が癒される。」 声×体×心の調和をボイスヨガや司会業、演奏活動を通して心地よい生き方、幸せな生き方を伝えています。